これまでの研究活動は,ヌートカ語学および機能主義的文法研究を二本の柱として行ってきました:

ヌートカ語学(ワカシュ語族;カナダ,ブリティッシュ・コロンビア州)

ヌートカ語(北米北西海岸;ワカシュ語族)の研究は1991年以来の自らのフィールド調査に基づくもので,形態統語面に重点を置きながらも,言語構造全体を広く網羅すべく努力している。データとしては,できるだけ自然な言語使用に近い談話の資料を重視し,言語の「生きた姿」に近い形での記述を目指してきた。

談話の中での機能的文法分析

文法現象の研究においては,おもに句構造,文法関係,態などの統語的問題や,形態法と統語法の関係に関心を持って研究している。研究の主眼は文法的規則性の理論的モデル化ではなく,当の現象の機能的説明付け(どのようなる認知的要因,語用論的要因,社会的要因,歴史的要因などが絡んで言語にはそのような現象・パターンが見られるのか)に注意を向けてきた。


最近は特に以下のようなエリアに焦点を当てて活動をすすめています:

品詞分類の通言語的研究

品詞分類は,現代言語学では主に形態統語的特徴によって定義されるものとされるが,形態的タイプが異なる言語をまたいで通用する普遍的な枠組みとして立てられるのだろうか;もし,通言語的に定義しにくいとすると,品詞分類をどのように捉え直す必要があるのか。

複統合性に関する研究

「複統合」という類型的性質は一つにまとめられるのか,それとも多様な「複統合性」を認める必要があるのか;複統合的性質は言語構造のどの部分に表れやすいのか;複統合的性質は言語の他の構造的特徴と相関関係があるか。

記述言語学・言語ドキュメンテーション研究支援

フィールドワークをとおしてのドキュメンテーション研究,およびそれに基づく文法記述研究の方法論や技術に関する研究,教育,支援を行う

若手フィールド言語学者コミュニティーの活性化

フィールドワークに基づく言語研究に従事する若手研究者が集まり,様々な共同研究をする機会を作り出すことで,研究者の間に活発な情報共有,相互支援,研究交流の流れを作り出す。

共同研究の新しいあり方の研究

双方向,参加型のオンライン研究交流環境の活用し時間・空間的な制約を越えて常時研究交流を保ち,従来の枠を大きく越える幅広い共同研究活動に結びつけていくための研究。